能登半島地震で動いた輪島市門前町中野屋地区の「断層」の
発掘調査結果(2007年04月18日作成,2007年04月19日更新)で報告した発掘調査に引き続き,ダイヤコンサルタントの協力のもとに深堀りトレンチ発掘調査と周囲の変状の再検討をおこないました.
その結果,能登半島地震で動いた輪島市門前町中野屋地区の道路で確認された『能登地震を発生させた断層の一部が地表に露出している』(金沢大学能登地震断層調査グループ)とする「断層」は,過去の地すべり地塊と基盤の泥岩を境する,泥岩の層理面とほぼ平行な剪断帯が,右横ずれ成分をもったやや上盤側が沈み込む正断層(成分として横ずれ成分の方が大きいので,縦ずれ成分をもった右横ずれ断層の方が正確かもしれません)として動いたものであることが確認できました.
しかし,動いた地塊の範囲は,水田の撓みからある程度推定はできますが,まだ確定できておらず,現在おこなっている測量の解析結果を待たなければなりません.
発掘調査によって確認された剪断面が,層理面に沿って更に深い基盤岩中へと続く構造的な正断層の可能性も否定できません.今回の地震で中野屋地区の地表に現われた「断層」の動きが,地震動によって古い地すべり地塊が局地的に動いたことによるもの(非構造性の断層=ノンテクトニック断層)か,地下深くの断層の動きの一部がこの地質境界に沿って地表に現われたもの(構造性の断層=テクトニック断層)かは,まだ断定できません.もし,地下深くの断層の動きの一部が地表に現れた構造性の断層だとしたら,地下では震源解析で逆断層と思われる断層が,なぜ地表付近で正断層になったのかという,構造地質学的に非常に興味深い現象ということになります.→
【第3報】