山形大学地域教育文化学部 | |
生活総合学科生活環境科学コース | 川辺孝幸 |
株式会社 ダイヤコンサルタント | 冨岡伸芳 |
同上 | 坂倉範彦 |
金沢大学能登半島地震断層調査グループ断層発掘作業担当 | |
金沢大学大学院自然科学研究科 | 石渡 明 |
同上 | 平松良浩 |
同上 | 奥寺浩樹 |
金沢大学埋蔵文化財調査センター | 小泉一人 |
発掘調査の概要については,第2報をご覧ください. 能登半島地震で動いた輪島市門前町中野屋地区の道路で確認された『能登地震を発生させた断層の一部が地表に露出している』(金沢大学能登地震断層調査グループ)とする「断層」は,『能登半島地震で動いた輪島市門前町中野屋地区の「断層」の発掘調査結果−第2報−(2007年05月05日作成,2007年05月12日更新)』で報告した発掘調査結果の再検討と,それ以降にわかった各種の調査・分析結果をもとに,今回の地震では動かなかったと結論しました. 「断層」のうち,水田の雁行割れ目は,地山の縄又層と断層破砕帯を挟んで上盤側の地すべり堆積物などを不整合に覆って重なる水田耕作土直下の礫混じり砂質シルト層(厚さ約10cm)の基底部にある砂質な部分が,数mm〜1cm程度の厚さで液状化し,その結果,その上位に重なる水田耕作土の表面までの地層が,最大傾斜方向に向かって重力的に滑動したために,滑動しなかった部分との境で右横ずれの雁行割れ目ができたことが明らかになりました. 『能登地震を発生させた断層の一部が地表に露出している』とする道路の割れ目も,このような地山の縄又層と地すべり堆積物〜盛り土堆積物との境界部で,同様な現象が生じてできた可能性が極めて高いと判断されます. なお,地山の縄又層と地すべり堆積物との物性の違いが,地下から入力した地震波の出力の違いとなって,地すべり堆積物の側のみが礫混じり砂質シルト層の基底部で液状化を起こしたということで,地山と地すべり堆積物といった物性の差が,その上位の被害の程度に影響を与えることがわかりました. |
分析者 : | 地球科学研究所(報告書番号:2534) | ||
分析方法: | AMS放射性炭素年代測定(加速器質量分析,液体シンチレーションカウンタによるβ-線計数法) | ||
サンプル名 | 層準 | 層相とサンプル | C14放射年代 |
NE-1 | 腐植土層C層 | 暗灰色〜黒灰色の腐植土層 | 2,430±40BP |
SW-1 | 地すべり堆積物E1層 | 土石流や流水下での砂礫質な層相からなる層相の部分に含まれる自生とみられる植物根 | 2,590±60BP |
E-1 | 地すべり堆積物E2層 | 角礫状のブロックからなる下部と砂礫層とシルト層の互層からなる上部の境界付近の亜炭層の薄層中の木片 | 9,200±50BP |
セッションInformation プログラムの変更 -------------------------------------------------------------------------------- ■ 投稿の追加 ●Z255:緊急セッション能登半島地震 5/1受付 Z255-P061 【表題】 能登半島地震で出現した輪島市門前町中野屋地区の 地表「断層」の発掘調査結果 【著者】 川辺孝幸(山形大・地域教育文化・地学)・石渡 明・ 平松良浩・奥寺浩樹・小泉一人(金沢大・自然研)・ 坂倉範彦・冨岡伸芳((株)ダイヤコンサルタント) |
図1-1 合同大会で展示した剥ぎ取り転写標本の全体 | ||
図1-2 剥ぎ取り転写標本の断層を覆う人工改変土層とその中の液状化部分と液状化部分から伸びる割れ目の拡大 | ||
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第2報で作成した位置図(川辺原図)に, 第1報の発掘現場見取り図で示された道路の割れ目と護岸の破損の位置関係を示した. | |
第1報の発掘現場見取り図(北の方位は磁北を示す)(石渡原図) |