普段地層の調査をおこなっている際に見つけたり気がついたりした,縦横に連続パターンを構成できる壁紙の素材を集めてみました.これらは,すべて写真に撮ったものにコントラストと色調の変更を加えただけですが,もちろんそのままでは完全に連続するわけではないので,不連続な周辺部分のみ加筆修正しています. それぞれの地層やもようのでき方についても簡単に紹介しています. まだ種類は少ないですが,これからも,堆積構造を中心に,おもしろい繰り返しパターンを探してみたいと思っています. |
写真は,南アフリカ共和国ウエスターンケープ州 Keurbooms Lagoon の海岸線で撮影したものです. |
写真は,南アフリカ共和国ウエスターンケープ州 Keurbooms Lagoon の海岸線で撮影したものです.海は右側で,左から右に波が引いていくときにできた模様です. |
写真は,南アフリカ共和国ウエスターンケープ州 Keurbooms Lagoon の中で撮影したもので,左から右への緩い流れがはたらいてできたコンバインドリップルです. |
寒河江川の,最上川との合流部の上流にある中州の左岸側で撮ったものです. |
掘削された川岸には,見事に昔の須川が残した蛇行河川特有の地層が観察できます. 写真は,その暫定的な河道のそこで見られたカレントリップルです.写真を構えている時に,服に着いていた石ころが落ちて,水面に波紋ができてしまいました. ここでは,中粒砂〜粗粒砂からなっています.水深は約5cmと浅く,流速は約30cmでした.上のリップルよりも水深が浅いところでできたために,リップルの高さが低くなっています. 壁紙テスト |
現在は,撮影地点付近の河床および高水位敷(中水位敷?)に堆積した石ころや砂を全部ならしてしまったために,残念ながら見ることができません. クライミングリップルは,カレントリップルの一種で,流れによってできた漣痕ですが,堆積物の供給が多くて堆積速度が速いためにできます.通常はリップルの背面(逆走斜面)は粒子が通過するか侵食されて,リップルの前面(順走斜面)に砂が堆積してフォアセットをつくります.運ばれてくる堆積物の量が多い場合には逆走斜面側にも粒子の堆積がおこり,リップル全体が積み上がりますが,前面のほうが堆積量が多いために,リップルの頂部は前進します.このようなことから,リップルの頂部を繋いだ線は,下から上へと前進しながら這い上がっていくように見えます.これがクライミングリップルです. 観察地点では,洪水の時の速い流れによって浮いて運ばれてきた砂粒子が,上流側にある木の茂みで流速が落ちたために,下流側にどっどっと堆積したためにできたと考えられます. |
水が干上がり,泥が乾燥して収縮したためにできた割れ目です. 福島県棚倉町の南にある土砂取り場の干上がった水たまりで撮影したものです. |
細かい泥(粘土)の層の表面が乾燥して収縮したためにできた割れ目(干裂:当時の表面を見ると上の写真のように見える)に,砂が流れ込んでできています. ちょっと繰り返しパターンの左右が短かったようで,壁紙としては,とても干痕の断面だとは見えません.もっと左右をとれば,自然な感じになったのかもしれませんが,これはこれで逆にパターンとしてはおもしろいのではと思っています. |
次第に増水していくと,州や川岸は,濁った水に水没し,州や川岸の水深は深くな っていきます.このとき,州や川岸の表面には,水中に浮かんで運ばれていた粒子が たまっていきます.その結果,増水の初期の細かい泥から増水のピーク時の砂まで, 順に堆積していきます. その後,増水した川の流れが引いていくと,今度は逆により水面近くの細かい粒子 がたまっていきます.そして最後には,泥水の水たまりができて,泥がたまることに なります.このような増水のときの一連の変化によって,一回の増水で,増水のピー クまでの逆級化構造と水が引いていく過程でできる正級化構造ができ ます.この写真では水が引いて浅くなっていく段階で,カレントリップルができてい ます. 写真は,カレントリップル−その2−と同じ山辺町大門の暫定河道の川岸の”切り通し”に出ている,過去の地層の断面で観察できたものです. |